2007年07月04日

薄闇での取引

男1:「今日は例のブツは持って来られてますか?」
男2:「今日は、ありますよ」
男1:「モノに間違いはないでしょうね?」
男2:「こだわりの一品です」

そういうと男はバッグからブツを取り出す。片方の男は品を確認すると満足そうに頷き、財布から紙幣を取り出して渡す。取引は人気のひいた夜遅くのビル内で行われた。空調の切れたビル内の澱んだ空気と薄暗い照明だけが、その一部始終を見守っていた。


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ハイ、というわけで、ついに手に入れたました。我が師匠である、大森ヒデノリ氏の待望のファースト・アルバム「白夜弦想」。何故に上記のような怪しいシチュエーションでの入手なのかって? いや別にレッスン時に師匠から購入しただけデスよ? 深読みのしすぎじゃないかな〜。 実はこのアルバム、発売は8/10なのだが、まぁそこは直弟子の特権ということで…。先日のライブでは先行発売をしていたのだが、ちょうど研究会とかぶっていたので行けなかったのである。そこで師匠にお願いして、直売りして頂いた次第。

ようやく入手したCDはなかなかお洒落なパッケージング。音楽的な内容はもちろん、カバーやライナーノーツまで、かなり拘って作られたそうだ。発売元は「SEVENTH HEAVEN」というインディーズ・レーベル。なんと師匠が立ち上げた会社である。う〜む、拘りというか何と言うか…徹底してて、グゥの声も出ませんな。

内容はスウェーディッシュ、つまりスウェーデンの伝統音楽である。ポルスカを中心に、ワルツやショティッシュなどが散りばめられ、師匠自身のオリジナル曲も3曲含まれている。楽器も実に多彩で、師匠はフィドルの他にもフィーデルと呼ばれる5弦のバイオリンの原型楽器も弾いているし、リュート、ヴィオラ・ダ・ガンバ、ニッケルハルパなどという、ちょっと珍しい楽器の音も堪能できる。プレイヤーも一流どころが参加しているし、製作に一年をかけているだけあって、充実の内容だ。実は私もスウェーディッシュはほとんど知らないのだが、興味深い曲が何曲もある。特に12曲目は「聴けば必ずニッケルハルパが欲しくなる魔性の一曲」だ。うむむ…罪作りな曲をまた…。


敢えて言わせて頂こう。 漢なら黙って買っとけ! もちろん女性もね。決して師匠にお願いされているわけでも、脅されているわけでもない。ただ民族音楽好きなら必聴の一枚だ。


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ちなみにライナーノーツにサインを頂きました。 あぁ、俗物…。 もう歳かね。
posted by せばすちゃん at 23:01| Comment(13) | TrackBack(0) | CD/DVD/本 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする

2007年07月17日

遥か波濤を越えて

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この季節の台風としては史上最強・最悪の規模と勢力を誇る2007年・台風4号「マンニィ」。今月14日には沖縄・九州を暴風圏に巻き込み、日本列島を東へ突っ切り、多大なる被害を叩き出した。コイツのせいでせっかくの休日が台無しになった方も多いだろう。


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そんな状況下で、一人の男が新大阪から博多へと向かおうとしていた。「誰だ、その無謀野郎は!?」という声が聞こえてきそうだが、野暮な質問でもある。っつーか、聞くまでもなかろうが。


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まさに台風の予想進路と真っ向から相対する男前度120%・無謀度200%な、侵攻ルート設定だ。しかし、もちろん何の理由も無しに、こんな作戦行動を行ったりはしない。逆に言えば為さねばならぬ事由のためには、少々無謀でも敢えてやらねばならぬ時があるのだ…にはな。


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目指すは福岡・天神のアイリッシュ・パブ「The Celts」。 ここには、あの男がいる。 そう、このブログにもしばしば登場するpadawan氏である。確固たる技術と卓越した感性、そして豊富なネタ(これ重要)を持っている、私が直接知る限りでは、アマチュア最強クラスのフィドラーである。もともと関西在住であったのだが、今年5月から仕事で九州へ赴任されているのである。九州ではあまりアイリッシュが盛んではないらしく、padawanさんがこのお店を中心にセッションなどを定着させようと活動されているのは聞いていたのだが、そこを急襲しようと言い出した人物がいるのである。「いつ仕事をしているのか判らない流離のフィドラー」・モハー氏である。彼もこのブログではお馴染みの感があるが、彼は全国到るところに出現しては、各地でセッションなどに参加している超活動的なフィドラーである。そんな彼から一通のメールが届いたのである。「博多を威力偵察するので、参加するように」と…。

いや〜、その日は連休とはいえ、仕事が入って…あれ、その日の仕事がキャンセルに…? いやでも、いちおう新婚だしさ、いきなり連休フルに家は空けにく…あれ、妻は仕事で東京出張? …行くしかないだろ。 てなわけで、計画は回りだしたのである。どうせならと、padawanさんには私が行くことは内緒にして、完全な奇襲攻撃を敢行することとする。世の中はサプライズがあった方が楽しいのだよ。まぁ当日に台風が上陸してしまったのは偶然なのだが、新幹線も動いてるし、「この悪天候を突っ切って、何の前触れも無く、突然現れたら面白いだろう」という、関西人らしいネタ最優先の観点から計画は決行の運びとなったのである。むしろ奇襲作戦としては御誂え向きの天候ですな…ふふふ。


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かくして、モハー・せばすちゃん連合艦隊は台風で荒れ狂う波濤を超え、護衛艦が徘徊する馬関海峡を突破し、ついに九州へ上陸を果たすのである。なんて書いてるけど、コレは途中で寄り道した下関にたまたま停泊していた護衛艦「さざなみ」。 「たかなみ」型護衛艦の4番艦で、平成17年就航の新鋭艦だ。基準排水量4550t。32セルの垂直発射式ミサイル・ランチャーを装備し、情報処理系とデータリンク・システムが飛躍的に…(以下略)


そして、モハーさんと綿密な打ち合わせとタイミング調整の末、偶然を装ってpadawanさんの前に突然姿を現す、せばすちゃん。そのときの彼の驚愕の顔は忘れられない。いや〜、本当に悪戯を考えているときって死ぬほど楽しいよね。でも喜んで頂けたみたいで何より。




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というわけで、「The Celts」で行われたライブ&セッションに飛び入り参加させて頂いた。ライブのメンバーはpadawanさん、モハーさん、そしてフルートのTommyさん。Tommyさんは初顔あわせだが、京都のアイリッシュ・パブ「フィールド」でブイブイ言わせていたという凄腕フルート吹きの方である。もう皆さん凄腕だし、私は飛び入りなので練習もしてないしで、とてもついていけないので、もっぱら聴き役・飲み役。数曲に混じって一緒に弾かせて頂いた。


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そして、セッション・タイム。今回はお二人の方が楽器を持参されていた。軸になる数曲を中心に色々な曲を弾いていく。楽器持参の方はお二人だったが、ダンスを習われている方がいたり、流れている曲を聴いて店に入ってきてくれるお客さんもいて、いい雰囲気でセッションは進む。


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そして、「いつか倒すリスト」の上位ランカー・padawanさんと無謀にも直接対決の図。もちろん結果は圧敗・惨敗、コテンパンのキューである。というか最初から勝負にもならないけどね。む〜、しかしまたレベル・アップされているような…。セッションで曲を弾ける人というのは結構いるものだが、フィドル一本でソロを聴かせられるプレイヤーはそうはいない。彼は間違いなくそういうプレイヤーだ。う〜む、私もいずれは、あの頂きに登ってみたいものである。




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かくして博多・天神の急襲作戦は幕を閉じた。奇襲としては史上稀に見る大成功だろう。ライブ&セッションはリハーサルまで含めると、なんと6時間にも及んだ。それでも疲れはあまりなく、充実感に満ちているのは、やはり楽しいセッションだったからだろう。改めて刺激を頂くこともできた。こういう刺激は、より上手くなるためのモチベーションとして非常に重要だと思う。いつか彼を倒す日を夢見て…。最後にお店のマスターと参加のプレイヤー、最後までおつきあい頂いたお客さんと一枚。


参加の皆様、お疲れ様&有難うございました! 特に長時間にわたり好き放題に弾かせて頂いた「The Celts」のマスターには感謝の言葉もありません。本当に有難うございました。そして、博多にアイリッシュを根付かせようとしているpadawanさんに心からエールを送りたいと思います。また博多を訪れる機会がありましたら、是非一緒に遊んで下さいませ!
posted by せばすちゃん at 01:02| Comment(6) | TrackBack(0) | その他 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする

2007年07月19日

超常現象は不可抗力だ

超常現象の一つとして有名なものに、「魚降り」というものがある。読んで字のごとく、魚などの降るはずのないものが降ってくる現象だ。これは遥か昔から洋の東西を問わず、世界各国で報告がある。報告は魚に限らず、カエルなどの例もある。原因は解明されていないが、海上で発生した竜巻が魚を巻き上げ、遠く離れた地まで吹き飛ばし、そこで魚が降るのだという説がある。もひとつ説得力に欠ける気がするがね。

さて、前置きが長かったが、実は先日、私の家においても超常現象が発生したのである。九州遠征から帰国すると、家に見慣れない弓が落ちていたのだ。な、何だコレは!?


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これが問題の謎の弓。黒い弓で、どうも素材は木材ではないようだ。剛性はかなり高く、重心はやや手元より。重量は61g。


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フロッグ近辺に「Coda Bow CONSERVATORY」と刻印されている。ウェブで調べてみると、どうもコイツらしい。なるほど、カーボン弓か…。有名プレイヤーの専用モデルなんかを出したりして少々あざとい商売をしているものの、なかなか評判は良いようだ。試しにちょっと弾いてみると、これがなかなか良い感じだ。バランスがいいのか、とり回しが楽だし、アップとダウンの切り替えも振り回されにくい気がする。そして音も現在使用中の弓よりも良いかも。お〜、なかなか良いではないか!

しかし、何故こんなモノが我が家に落ちているのか? 不思議だな〜(棒読み)。 世界の七不思議だな〜(棒読み)。 そうか、きっと史上最大級の台風4号に巻き上げられたカーボン弓が、たまたま我が家に落ちてきたに違いない。多くの被害を叩き出した台風4号だが、たまにはいいこともするじゃないか。いや、一重に私の日頃の行いというか…人徳? いや〜、あっはっは。善行というのは積んでおくものだね〜。独りほくそ笑みながら、九州遠征の時の写真の整理をしていると…。


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あれ、何これ? ここ何処? 何か見覚えがあるような…まさか…魔窟?参照) 以前にも何回か書いたことがあるのだが、興味深い楽器が興味深い価格で転がりまくっており危険すぎるため、以前私が魔窟と命名したお店「アコースティック・ハーモニー」にそっくりである。しかし…何故、九州遠征の写真にこんな写真が紛れ込んでいるのか? おかしい…記憶にないぞ(棒読み)。 モハーさんと九州遠征の帰りに寄り道したなんて記憶は一切ない(棒読み)。


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ましてや、その魔窟で偶然「ゆっくりセッション」でお会いしたKさんと再会を果たした記憶なんか絶対にない。証拠もない。でも、写真はある…おっかし〜な〜。しかし、九州から帰ってきた我々と、筑波から来たKさんが神戸のお店で偶然に出会うなんざ、本当に不思議な話だ。いや〜、弓ぐらい降っても全然おかしくないくらい奇跡的ですよね、うんうん。 いやぁしかしKさん、セッションの時も思ったが素晴らしい腕前だ。padawanさんといい、モハーさんといい、今回の旅では死ぬほど刺激を受けた。もっともっと練習しなければ!


なんか今日は文章がおかしいって? 仕方なかろう。 家庭持ちにはそれなりの苦労と言うのがあるのだよ。覚えておけ、ゲール君。 しかし、まぁなんだ。偶然とはいえ手に入ってしまった弓は仕方ない。幸いにも私の好みにジャストフィットする弓なので、コイツを新しい相棒に、練習に励むとしよう。 

うへへ。
posted by せばすちゃん at 22:43| Comment(22) | TrackBack(0) | その他 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする

2007年07月22日

チタニウム再び!!

バイオリンを始めて最初の一年は、私は2ヶ月ほどで弦を交換して、一番フィットする弦探しなどをしていたが、現在の愛器「虎徹」になってからはペースが落ち込んでいる。とはいえ入手して一年、ドミナント→ロイヤル・オーク・ファイバー→ドミナントと3回交換しているのだが、ロイヤル・オーク・ファイバーは残念ながら虎徹には相性が悪いのか音色が気に入らず、早めに御退陣頂いたので、虎徹はほとんどドミナントで弾いていることになる。虎徹にドミナントは相性がいいのか非常に心地よい音がするので、他の弦を試す気が失せてしまうのよね。しかし、ここ最近、私の中では猛烈にフィドル熱が高まってきている。九州急襲(うわ〜…)作戦で刺激を受けまくった私は、久しぶりで天をも焦がすごとく情熱にとり憑かれてしまっているのである。 そうだ、私は挑戦者だったハズだ!! 思い出せ、火の付くような闘争心を!! (by 巨摩群) 

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というわけで、弦を交換してみた。先代・主力バイオリン「ベルガラス」において最高の評価を得た「VISION Titanium」(前回記事参照)を今回も試してみようと思ったのだが、まったく同じモノでは芸が無い。そこで「VISION Titanium SOLO」というバージョンを試してみることにする。おなじ「ビジョン・チタニウム」の中でも「ソロ」と「オーケストラ」という特化バージョンが販売されているのである。もちろん「ソロ」はソリスト向けの音色を出すことを目的として作られているそうだ。うむ、いずれはソリストを目指す私に相応しい名前だ。私の腕前がソリストを目指すに相応しいかどうかという問題は、この際遠くに放り投げておこう。

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テールピース側はノーマル・チタニウムと同様の全弦・緑色。こういう色使いはクールで渋くて好きだ。ドミナントはどうもカラフル過ぎて、漢らしくないのだよな〜。実に些細なことなんだけどね。


さて、いよいよ実際に弾いてみる。 …やっぱ、ビジョン・チタニウムいいわ!! ちょっとザラついた印象だが、伸びのいい芯のある音だ。やたら図太い音ではなく、芯があってその周りを包む音が存在する感じというのだろうか? 響きも私好み。うん、ドミナントも虎徹にはあうんだが、やはりコイツも好きだな。正直やってみるまでは、虎徹にはあわないと思っていたのだが、嬉しい誤算だ。何事もやってみなきゃ判りませんなぁ。




というわけで、音源アップしてみる。曲目は「Terry Teehan's Polka 〜 Out on the Ocean(Jig)」 いつも言っていることだが、あくまで音色チェック用なので、音楽を聴くのではなく音色を聴くように。しかしフィドル熱がまた熱く燃え出しているというのに、出鼻を挫くようなヒドい演奏だ…。練習しまくらなければ…。
posted by せばすちゃん at 20:11| Comment(6) | TrackBack(0) | | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする
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